ハードジェルとソフトジェル
ジェルネイルは光(UVやLED)硬化性の樹脂ネイルの総称ですね。 色々なジェルネイル、たとえばパラジェル、バイオジェル、カルジェルなどそれぞれ特徴のあるジェルがあります。いずれも樹脂にフォトイニシエーター(光重合開始剤)を混ぜて特定の光を当てるとジェルが硬化する製品設計をしています。
ハードジェルの主成分はアクリル(*1)です。
(*1)メタクリル酸エステルやアクリル酸エステルの重合体でクロロホルムやアセトンなど種々の有機溶媒にとける。
ハードジェルは完全に固まると硬度が上がり、丈夫ですが柔軟性に欠けます。固まるとプラスチックと同じようなものになると考えて下さい。
ソフトジェルは主成分はウレタン(*2)です。
(*2)ペンキの材料などに使われるウレタン結合を有する重合体で有機溶剤溶系や水溶性のものなど多岐にわたる。
ソフトジェルは固まってもある程度の柔軟性があります。しかし、強度はハードジェルより劣ります。そのため、ネイルスカルプチュア向きではありません。
ネイルジェルの ソフトとハードの違いは素材もありますが、分子のレベルでは重合分子(ひっついた分子)同士の隙間が広く、その隙間から水や空気がで出入りできます。その分、爪にかかる負担が少ないと言われています。
但し、ジェルネイルの開発競争は激しく、より爪にやさしく、ジェルオフの簡便な商品が毎年出てきております。ハードとソフトの両方も長所を兼ね備えたセミハードジェルも市場に出てきました。それぞれ専用のソークオフ剤(ジェルを剥がす有機溶剤)があり、それに浸す(ソーク)しジェルを除去することになります。ハードジェルはソークではオフできないのでサンディングでオフするため、爪の薄い人には向かないと言われています。
最近ではジェル形成後にハードかソフトかセミハードか(ネイルサロンによっては使い分け、色々なジェルを使っているところもあります)そのため、どのようなジェルを使っているかはジェルオフの時にはわからない場合もあり、その時にはソークとサンディングを組み合わせてオフしなければならない場合もあります。
また、光硬化タイプの水溶性ジェルもあり、有機溶媒系より安全性が高いと言われています。
有機系か水系かを見分けるにはジェルの臭いをかいでみましょう。シンナーのような刺激臭があれば有機溶媒が使われています。成分表をみることで何が入っているかはわかりますが、カタカナの羅列でなかなか頭に入ってきません。ここは自分の五感を信じましょう!
ジェルの主要な内容成分はメタクリル酸エステル モノマー・アクリル酸オリゴマー・光重合開始剤(フォトイニシエーター)ですが、これでは何がなんやらわかりにくいですよね。それに色素や保護材など色々な成分の配合により特徴を出しています。
天然樹脂と合成樹脂
樹脂は、もともとその名前通りの植物が分泌した個体状の物質、もしくは半個体状の物質を意味します。
天然樹脂の松脂(まつやに)や琥珀は聞いたことありますね。
そのような天然樹脂を研究して化学的に同様の性質のものができるようになり、それを合成樹脂と呼びます。ジェルやマニキュア、 スカルプチュアネイルも合成樹脂の一種です。
天然だから身体に良い、合成だから身体に悪いということではなく、合成樹脂はこれからもどんどん研究が進みます。さらに発色、強度、塗りやすさが改善し、おしゃれ&爪保護にもなるジェルも開発されてくるでしょう。
マニキュア
マニキュアは有機溶剤系の塗料で粘性が低く、除光液で簡単にオフできるものをいいます。 ジェルとの大きな違いは熱硬化(自然硬化)か光硬化、厚みのあるなし、さらにどれくらいの強度があるか(マニュキアは1週間程度、ジェルネイルは3~4週間もちます)です。
マニキュアも最近では水系塗料が出てきています。こちらのオフは剥がすだけで爪に優しいですね。しかし、持ちはマニキュアの有機溶剤系以上に悪いですが・・・
スカルプチュアネイル(アクリル人工爪)
一体となったジェルとは違いアクリルパウダーとアクリルリキッドを爪形成時に混合して、形を形成します。
ネイルサロンでは一世風靡したネイル加工用材でしたが、ジェルネイルの登場で今では爪の長さ出しをしたり、欠けた爪を修復したりするためにごく一部で使われるだけになってしまいました。
しかし、歴史の古いアクリル樹脂のため、歯科でも歯の修正に使われるほど安全性の高い用材です。
当サロンでは欠け爪や巻き爪、肥厚爪(爪甲鉤彎症)のケア時に使用します。アクリル人工爪による爪保護ケアで爪が自然に伸びる力を最大限に発揮できるように考えています。
また、ご希望があれば、アクリル人工爪形成後にピーリングオフできる水系爪マニキュアをペイントさせていただきます。
爪に対する有機溶剤の影響
有機溶媒に溶かす作用があることを考えれば、爪の保湿能には悪影響を与えると考えられます。しかし、マニキュアやジェル、 スカルプチュアネイル の着装時はその使用量と揮発性を考えれば、有機溶剤の影響は少ないでしょう。
有機溶剤の影響を最も考えなくてはならないのは、オフ時に使う除光液や ソークオフ剤です。オフ時には長時間有機溶剤に爪や皮膚をさらさなければ ならないので、頻度と暴露時間によりかなりの影響でてきます。
おしゃれネイルをする時にむやみに有機溶剤を恐れることはありませんが、その頻度やソークの時間はなるべく必要最小限にするよう努力しましょう。
水系ネイルは爪にやさしいか?
難しい問題ですね。有機溶剤のような脱脂作用はないので、優しいといえますが、強度、塗り直しの頻度、発色の問題など有機溶剤系と比べればまだまだ発展途上の用材と考えます。しかし、これからはさらによい製品がでてくるでしょう。それに期待しましょう!
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