巻き爪や陥入爪になって痛みが出てくるとすぐにでもその痛みを取りたいですよね。
それはだれも思う気持ちです。だから痛い爪を切ってしまおう。痛い爪棘が生えてこないようにしよう。それも爪が原因になっているなら当然考えます。
でも、爪は髪の毛が毛根から作られるのと同じで毎日爪母から作られています。その爪母を痛めてしまう処置をするとそこからは良質な爪は二度と生えてきません。
その身体の神秘を無視して、痛みがあるからと言って爪母を傷つける処置は長い目で見れば百害あって一理なしです。
爪の成長
爪は皮膚の下に隠れている爪甲の根本である爪母から作られ、前方に成長します。その爪は三層に分かれており、第三層は爪床(ネイルベッド)と一体化しています。この部分は爪と皮膚の接着部分なので乾燥せず、常にゲル化しています。
爪先の爪下皮( ハイポキニウム )で爪の第三層と皮膚は乾燥から守れています。その爪下皮が乾燥するとそのゲル化面積は小さくなり、爪床の面積も当然縮小します。またゲル物質は乾燥すると角質として爪と皮膚の間に貯留します。
また硬さも爪が爪床と密着しているところでは弾力と強靱性を兼ね備えていますが、爪床から離れた黄線より先のホワイトゾーンはもろく乾燥の程度に比例し、弾力も低下しています。
健康な爪
爪は手の指で1日0.1mm、足ではこれより遅く一ヶ月で1.5mm程度成長すると言われています。足のほうが摩耗もするので遅いとされています。
つまり、足の爪では爪母から形成された爪が爪先まで伸びるまでに1年は掛かることになります。
また、小児期~20才頃までは爪の成長が早く、それ以後は徐々に成長が遅くなると言われています。
爪自体は半透明なので、爪床と接着している爪は第三層がゲル化し、爪床の色を反映して淡いピンク色をしています。爪半月の色が乳白色なのは、爪母でつくられたばかりの爪なので、水分量が多く厚みをあるためです。また、爪床から離れた爪は乾燥のため、不透明黄色となります。
爪床に接着している爪の水分量は、5~24%程度と外気の湿度によりかなりの変動があります。冬には爪が欠けやすいのは爪の水分量が減り乾燥するためです。
爪母が爪を作るための栄養は身体の栄養状態に影響します。爪育には体の健康保持につとめ、生活習慣や、バランスのとれた食事をとるようにしましょう。
つまり、爪は身体に栄養状態と外気、それに爪母、爪床、爪の三層構造がそれぞれに影響しながら健全な爪を形作ることになります。そのバランスが少しでも崩れると爪は健全な成長をしません。
学会でもCAUTION!が出ています
日本皮膚学会のHP『皮膚科Q&A 爪の病気』のページでは
『陥入爪の治療として、爪甲の側縁が生えないようにする手術やフェノール腐食法は世界的に推奨されている方法ですが、術後年数を経ると醜悪な形態の爪となり、その上多くの障害を起こしますので、行わないのが良いと考えています。爪甲の側縁を短く切る方法も行われていますが、一時的に症状を和らげるだけで、爪甲が少し伸びてくると大抵再発しますし、一層重症化します。』 と書かれています。
切爪法での再発例や鬼塚法やフェノール法での巻き爪・陥入爪の根治療法をしたはずの方の再発例や、爪幅の左右不対称・爪甲鉤彎症(肥厚爪)などの爪変形の例など枚挙にいとまはありません。
矯正で治せるものはまず矯正で治すという考え方が一番自然な治療法だとは思いますが、保険制度は爪の手術でしかた巻き爪・陥入爪の治療を認めていません。このことも爪矯正の普及を妨げていると思われます。
しかし、いくら保険で多少安くなるといっても爪とは一生付き合っていかなくてはなりません。
爪母を傷つけた場合、正常な爪の発育はなかなか期待できません。
爪を傷つけた手術を受けた症例
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